松竹梅
新しい年を迎えました。年頭にあたり、お正月に相応しい松竹梅をテーマに展示いたしました。
松竹梅は「歳寒三友(さいかんさんゆう)」といわれ、代表的な吉祥文様です。
松は常盤(ときわ)の松、齢(よわい)といわれ、長寿延命の象徴です。四季を通じて変わることのない緑を保ち、お正月の歳神(としがみ)様の依(よ)り代(しろ)ともなっています。
竹は、真っすぐで堅く、中は空で隠すことなく常に緑で堅く根を張り、群生するところから、笹と共に清和の証(あかし)といわれます。
梅は初花、または木の花、春を告げる花として愛されています。寒中に漂う芳香につつまれます。万葉集にも数多く歌われています。。
羽子板 二越縮緬 長着
魔除けとしてお正月に女性に贈る風習があった羽子板は、室町時代に中国より伝来した遊具でした。お正月に羽根つき(災いを「はね」のける)をすることで、その年の無病息災を願ったのです。
鶴 綿 布団側
古くは「たづ」と呼ばれ神鳥と考えられていました。亀甲も同様に吉祥文です。大正染で綿布にまるで絣織りのように後染で表現しています。おちょやんのドラマを思い出しますね。
竹立涌に花菱 二越縮緬 羽織
成長を祈願する吉祥文様の竹で立涌を表現し、花菱をちりばめた文様です。平安時代より公家の装束や調度に用いられ、有職文様の立涌や菱等の格調高い伝統のある文様を、現代風にアレンジして新しさを感じさせています。
竹縞 二越縮緬 長襦袢
摺匹田(型紙を用いて鹿の子文様を刷り表わしたもの)で真っ直ぐに伸びる勢いのある竹を地の猩々緋色と白い鹿の子で大胆に表現。身に纏えば清々しく背筋が伸びる思いです。
地紙に松竹梅 二越縮緬 羽織
地紙とは扇や扇子の骨組みに張る型紙のことで、骨組みを省略して文様化されました。その地紙に若松、若竹、梅の花が描かれ、流水紋に毘沙門亀甲もあります。
松、梅 唐草立涌 交織 布団側
絞り柄を埋めつくした松、梅に唐草で立涌にした文様。唐草も立涌も、もとは有職文様として格が高いのですが、現代ではシンプルで軽妙な文様が幅広く使われています。
竹に雀 モスリン(毛) 長襦袢
空にむかってまっすぐ伸びる竹、厄をついばんでくれる雀。どちらも生命力にあふれ繁栄の象徴です。色合いも新年らしくさわやかですね。今年も雀のようにたくさんの仲間と過ごせますように。
槍梅 一越縮緬 長着
花と蕾のついた梅の枝をまっすぐに立てて並べた様子が槍を立てたように見えることから槍梅と呼ばれます。色とりどりの花は香わしく、春の息吹が感じられる手描き友禅の留袖だったようです。
松竹梅 二越縮緬 羽織
江戸時代前期の奢侈禁止令により、贅沢な手絞り染めに代わり、疋田鹿の子を模した染め疋田の技法が発展しました。
松・竹・梅を染め疋田で可愛く配した羽織地です。
風車に松竹梅 綿 女児長着
赤と白の矢羽根に松竹梅の模様が描かれています。風車がかわいくそっと顔をのぞかせています。女の子に似合う着物地に見えます。
雪持ち松・竹・梅 紋錦紗 羽織
歌舞伎の衣裳にも登場する、お馴染みの雪持ち文。寒い日もすくむことなく堂々と雪を載せ凛とした姿。待ちわびる春の兆しを感じます。大雪は豊作豊穣の吉兆説があり、松竹梅と相俟って、新年に相応しい柄です。
鶴と牡丹と若松 二越縮緬 長着
瑠璃色の二越縮緬に牡丹、菊、白梅の花と若松に鶴、吉祥文様で尽された文様です。
笠松に隠れ蓑 二越縮緬 長着
松葉が笠のようで、枝を笠の紐に見たてた笠松が、桃色地に鮮やかに描かれています。中央には宝尽しの一つ、隠れ蓑が、鳳凰の様に大きな羽や長い尾を伸びやかに広げています。
笠松 二越縮緬 羽織
上下で向き合う様に描かれた飛鶴。背景は、松葉を笠の形にデザインした笠松文様です。
大胆に流れる様に配されています。
松竹梅に宝尽し 二越縮緬 長着
上質な縮緬地に、代表的な吉祥文様である松竹梅と宝尽しを配し、彩りゆたかに表現されています。愛らしくも格調高く、新春にふさわしい文様です。
竹に青海波 二越縮緬 長襦袢
竹は寒い冬でも、緑色を保ち続け、雪にも負けずまっすぐに伸びることから「成長」の象徴とされています。また青海波も、どこまでも続く波模様には「未来永劫穏やかに暮らしていけますように」との願いが込められ、重ねてお目出たい文様です。
四君子(しくんし) モスリン 女児長着
蘭竹梅菊の四つを合わせたものを「四君子」と言います。蘭は良い香りと気品を備え、竹は寒い冬にも青々とし、まっすぐな性質です。梅は早春一番に花を咲かせる強靭さがあり、菊は晩秋に鮮やかに咲く姿が好まれ、それぞれ君主の特性を持つとされています。
鶴 二越縮緬 長着
厳しい冬の寒さに耐え、四季を通じて緑を保つ松は、清浄な文様とされています。延命長寿を表す、松や鶴、その鶴の子育て、めでたさが重なった、新年にふさわしい文様です。
羽子板に紙ふうせん 綿 女児長着
お正月らしく、梅の花と羽子板、紙ふうせんの中に竹や牡丹が描かれて、お正月が待ち遠しい様子が感じられます。日本に伝えられた梅は愛らしい花です。
変り鶴丸 鶉縮緬 子供長着
めでたいことの起きる前兆とされる鳥、「瑞鳥」の一つである鶴は、長生きの象徴として崇拝されてきました。夫婦円満の願いも込めて花嫁衣裳にもよく使われています。