帯揚げ
帯揚げは、着物と帯の中間にあって、それぞれに調和しなくてはならない大切な役割を持っています。
帯揚げが初めて使われたのは、文化十年、江戸亀戸天神の太鼓橋が再建され、その落成を祝って深川の芸者が太鼓結びを創案し、結んだといわれており、その際に帯揚げが必要になったものでしょう。江戸末期に、帯が装飾性を持つようになって、それにつれて帯幅が広くなり、帯のたけも長くなってきたので、帯結びを形よくまとめて、帯の重さを引き上げるために、補助的なものとして帯揚げを用いるようになったものです。
現在のように帯揚げが装飾的なものとして、着物の上から見えるようになったのは、明治四年あたりからですが、大正の頃までは、帯揚げは見せるものとして、かなり派手に飾っていたようです。この時代の帯揚げは、しぼの大きいちりめんや、絞りちりめんの無地が多く使われ、明治から大正初期までは、友禅染のものが流行しました。
現在では花嫁衣装、子供の祝い着や若い人の礼・正装等の場合は別として、普通あまり帯からのぞかせなくなりました。といっても、華やかに着物と帯の間からわずかにのぞく帯揚げには、ほとんどが疋田鹿の子の総絞りを用います。
この総絞りは、手作りのため高価な上に、格調高いものとされています。
種類は、疋田鹿の子の総絞り、部分絞り、紋倫子、無地、ぼかし染、羽二重、縮細が一般に使われていますが、ミセスの場合、礼正装を除いては、疋田絞りなどは用いません。
夏物には、平絽、駒絽、絽縮細、紋紗などを用います。
幅三〇センチ、長さ一五八~一七〇センチ位あります。
色は紅色の他に桜色、水色、淡黄色などありますが、着物姿は、洋服と違って、色彩が多くなりますから、色の選び方次第で、着物姿のよしあしが決まってしまいます。今は年齢にこだわらず、むしろ着物とか帯の色調を考えて選ぶようになりました。どちらかいえば着物の色柄に合わせたほうが、自然にマッチするようです。帯揚げの出し具合もTPO、体型によって配慮しなければなりません。
美しい着物姿を完成させるには、小物類に気を配り、季節や目的に格を合わせて選び
ましょう。